2024年秋号 上場企業におけるサステナビリティ開示の強制適用(シンガポール)
2024年秋号 上場企業におけるサステナビリティ開示の強制適用(シンガポール)
BDO Asia - ジャパンデスク ニュースレター 2024年秋号
シンガポール証券取引所(以下、「SGX」という。)は、2024年3月7日に、シンガポール上場企業に適用されるサステナビリティ開示規則に係る改正案を公表し、パブリックコメントを募っていましたが、今般2024年9月23日に当該サステナビリティ開示規則の改正を公表しました。
これに伴い、全てのSGX上場企業は2025年1月1日以後開始する事業年度より、IFRSサステナビリティ開示基準(IFRS S1及びIFRS S2)と基本的に同等の要求事項を満たすサステナビリティレポートの作成・開示が義務付けられることとなります。
以下は、FY2025及びFY2026におけるサステナビリティレポートの開示ルール概要となります。
<FY2025>
開示内容: IFRSサステナビリティ開示基準に基づく、気候関連の開示書類の作成・開示を義務化
但し、IFRS S2に定められるスコープ3 GHG排出量の開示に係る要求事項の適用は、未だ検討中であり、SGXのサステナビリティ開示規則には組み込まれていない。
その他のサステナビリティレポートの主要な構成要素となる以下の開示項目は、Comply or Explainベースでの開示とされる。
1.重要なESG要因
2.方針、実施及び成果
3.目標
4.サステナビリティレポートフレームワーク
5.サステナビリティに対する取締役会の声明及び関連するガバナンス体制
開示期限: サステナビリティ開示書類は、決算日後4か月以内の開示が求められる。(サステナビリティ開示書類に対して保証業務の提供を受ける場合は、決算日後5か月以内の開示が求められる。)
<FY2026>
開示内容: FY2025で開示が求められた事項に加え、スコープ3 GHG排出量の開示に係る要求事項は、時価総額が一定額を超える上場企業に対し適用される見込み。
気候関連情報に加え、サステナビリティレポートの主要な構成要素全てについて、開示が義務付けられる。
開示期限: サステナビリティ開示書類は、アニュアルレポートと同時に開示が求められる。(サステナビリティ開示書類に対して保証業務の提供を受ける場合は、決算日後5か月以内の開示が求められる。)
なお、非上場会社に対するサステナビリティ開示基準の適用に関しては、2023年7月6日に、Sustainability Reporting Advisory Committee “SRAC”より提言書が公表され、一定規模以上の非上場会社に対してもサステナビリティ開示基準を強制適用するよう提言がなされていますが、執筆時点で最終的な制度化には至っていません。
提言書にて、提言された概要は以下の通りです。
(1) 適用会社
年間売上高が10億シンガポールドル以上の会社
(2) 適用時期
2027年1月1日以後、開始する事業年度より適用
(3) 経過措置
Scope 3のGHG排出量の開示については、2年間開示を免除できる
(4) 外部の監査法人等による保証業務
2029年1月1日以後、開始する事業年度より義務付け
BDO シンガポール 森田 陽平 yoheimorita@bdo.com.sg